おはん 宇野千代 | tomokoの読書感想文

おはん 宇野千代




著者: 宇野 千代
タイトル: おはん











うわきごころについて

「あれが男の出来心と申すものでござりましょうか。ついさきがたまで、おはんの体に指ふれようなぞとは夢にも思うてはおりませんだのに、我が身も女の身の上も、もうめちゃくちゃに谷底へつきおとしてしまいたいというような阿呆な心になったのでござります。」


宇野千代の名を文壇に轟かすきっかけとなった一冊
二人の女性の間をいったりきたりする情けない主人公の心理状態が上記。


なるほど・・と納得した私はだめな人間なのでしょうか?

浮気心理が絵で描かれたのごとく鮮明に描き出されていると思いました。

さらに言えば、ここで描かれていることは、男性の「うわきごころ」を超越して人間の業の深さに及んでいる気がします。