美徳のよろめき  三島由紀夫 | tomokoの読書感想文

美徳のよろめき  三島由紀夫



著者: 三島 由紀夫
タイトル: 美徳のよろめき





裏切る

「嘘がひとたび生活上の必要と化すと、それはまるで井戸水のようにこんこんと湧いた。節子は自分の持っている嘘の能力の豊かさにおどろいた末、自分を一種の天才のように思ってしまった。」


結婚し、一児をもうけ、優しい旦那をもっているにも関らず、主人公の女性がろくでもない男との不倫から抜け出せないくて苦しむ話。
この引用文は主人公が旦那さんに対していれやこれやと嘘をつくときに、自分で自分を恐ろしいと感じる心理。

道徳観と本能のはざまであがく主人公の心理が悲しいほどに、しかも分かりやすく書かれています。

読み終わったときに、浮気の心理はよろめきそのものである・・と分かったような分からないような結論で自己解決。