上方 今と昔 山本為三郎 | tomokoの読書感想文

上方 今と昔 山本為三郎

故・朝日ビール社長 山本為三郎氏の、関西の風土や文化についての随筆。

その他、伊藤忠、三井、三菱社長など経済人の素顔の記述があったりしてとても面白かったです。


私は、芦屋の甲南女子の方で10年間を過ごしたので、なかでも甲南高校を設立した平生氏についての記述は大変興味深く読めました。

平生氏の生家が裕福でなかったため、平生家の養子になり学校に通わせて貰った。

そのように、自分が勉強するのに苦労したから何とかして貧しい子弟にも勉強させてやりたい・・そういう思いから甲南高校を設立したとのこと。


しかし、今の甲南というのは地元では割と裕福な家の子が通う学校として有名・・。

平生氏の設立意図が少しずれてきているような気がし、複雑な気分になりました。


先ほど紹介した獅子文六の「食味歳時記」の「ハイカラな人逝く」という章で、山本氏のことを”日本人であれほど古酒美酒を貯えた人はいない・・・それらを酒の人に飲ませるのが愉しみだったらしい。そういうことをハイカラというのである。”と述べています。


随筆を読んで、当時の大者の”男気や粋”が伝わってくるようでした。