tomokoの読書感想文 -6ページ目
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石井好子さんの料理エッセイ




著者: 石井 好子
タイトル: パリ仕込みお料理ノート



著者: 石井 好子
タイトル: 巴里の空の下オムレツのにおいは流れる レシピ版

今でこそ珍しくなくなった料理エッセイ本。その先がけとなったのは、暮らしの手帖。

暮らしの手帖内で料理エッセイの連載をしていた石井好子さんの文章が”あまりにも美味しそう”なので、当時の暮らしの手帖編集長、花森安治氏が料理エッセイを書くように彼女にすすめたのだそう。

そしてそれは大ヒット。またたくまに”シャンソンの石井好子”さんが”オムレツの石井好子”さんとしても有名になったのはその時。

本を読んでいると、いろいろな工夫をこらしながら料理を楽しむ彼女の姿が目に浮かびます。


すてきなあなたに 暮らしの手帖社




著者: 大橋 鎭子
タイトル: すてきなあなたに〈4〉



著者: 大橋 鎮子
タイトル: すてきなあなたに〈2〉



著者: 大橋 鎮子
タイトル: すてきなあなたに

やさしい文章で、ていねいな暮らし方のヒントを教えてくれる本。
1巻は生活のアイデアレシピ満載。

2巻は大橋鎮子さんの身近な出来事のエッセイが多い。「浅草橋のほとり」という話を読み、だらだらと泣いてしまった。

3巻も2巻と同じくエッセイ多し。

せせこましい毎日を送っていると、気持までぎすぎすしがちです。
そんな時、この本を開いてみてください。
女性として、人間として、きめ細やかにで優しい気持でくらすことが、いかに大切かを教えてくれるはずですから。

真のすてきな女性とは、「ていねいな暮らし」を楽しんで送っている人ではないか?と私は思いました。

「スカーレット」第4巻 A・リプリー著・森瑤子訳



著者: NoData
タイトル: 風と共に去りぬ [ポスター]







どんな美人も金持ちも、恋の魔力には抗えない・・
そう感じさせた文章がこちら。

ある時は、リュークの言葉に光明を見出し、楽天的な気持から幸福になり、何日も上機嫌で過した。
そうかと思うと、彼はもうこのまま一生バリハラへは近づきはしまいと思って悲観的な気分に見舞われ、何事に対しても、積極的にはなれなかった。
だが、こうした天国と地獄をつなぐ日々の方が圧倒的に長く多かった。


おなじみ「風と共に去りぬ」の続編「スカーレット」。
リューク伯爵と婚約していたころのスカーレットの微妙な心理がうかがえるこの一節。

あんな高慢ちきで、プライドの高いスカーレットですら、一人の男性の言葉で浮かれたり、ふさいだりすることもあるのだから、恋心ってなんて難しいの!?

最終的には、なんだかんだいって、スカーレットは運命の相手、レットとよりをもどすんだけれどね・・



美徳のよろめき  三島由紀夫



著者: 三島 由紀夫
タイトル: 美徳のよろめき





裏切る

「嘘がひとたび生活上の必要と化すと、それはまるで井戸水のようにこんこんと湧いた。節子は自分の持っている嘘の能力の豊かさにおどろいた末、自分を一種の天才のように思ってしまった。」


結婚し、一児をもうけ、優しい旦那をもっているにも関らず、主人公の女性がろくでもない男との不倫から抜け出せないくて苦しむ話。
この引用文は主人公が旦那さんに対していれやこれやと嘘をつくときに、自分で自分を恐ろしいと感じる心理。

道徳観と本能のはざまであがく主人公の心理が悲しいほどに、しかも分かりやすく書かれています。

読み終わったときに、浮気の心理はよろめきそのものである・・と分かったような分からないような結論で自己解決。

寺村輝夫さんのシリーズ



著者: 寺村 輝夫, 永井 郁子
タイトル: わかったさんのマドレーヌ



著者: 寺村 輝夫, 和歌山 静子
タイトル: おしゃべりなたまごやき



著者: 寺村 輝夫, 永井 郁子
タイトル: わかったさんのクッキー



小学生のころ読んだ本編


寺村輝夫さんの「王様シリーズ」の本には、食べ物の話がたくさん出てきます。今でも覚えているのが、王様がせっせせっせとオムレツを作る場面や、にんじんやらじゃがいもやらのせんべいに固執したりする場面。 どれもこれもほんとうに美味しそうで、この本を読んだ後は台所にいる母に「今日の晩御飯はこの王様の本に載っているオムレツにして。」とか「王様が食べた野菜せんべいと同じのを作ってよ。」とか駄々をこねていたっけ? 小学生の頃読んだ本のことなのに、或る時突然その本の記憶がよみがえる・・なんてことありませか



こちらも寺村輝夫さんの著書。わかったさんシリーズ。この本のすばらしいところは、小学生の子供でも理解できるレシピがついているところ。ちなみに、こまったさんシリーズというのもあり、こちらではカレーライスやサンドイッチやオムレツのレシピが付いていました。

おはん 宇野千代




著者: 宇野 千代
タイトル: おはん











うわきごころについて

「あれが男の出来心と申すものでござりましょうか。ついさきがたまで、おはんの体に指ふれようなぞとは夢にも思うてはおりませんだのに、我が身も女の身の上も、もうめちゃくちゃに谷底へつきおとしてしまいたいというような阿呆な心になったのでござります。」


宇野千代の名を文壇に轟かすきっかけとなった一冊
二人の女性の間をいったりきたりする情けない主人公の心理状態が上記。


なるほど・・と納得した私はだめな人間なのでしょうか?

浮気心理が絵で描かれたのごとく鮮明に描き出されていると思いました。

さらに言えば、ここで描かれていることは、男性の「うわきごころ」を超越して人間の業の深さに及んでいる気がします。


蜜のあはれ 室生屑星



著者: 室生 犀星
タイトル: 蜜のあわれ・われはうたえどもやぶれかぶれ











人を好きになったときの気持を言葉で表すのは、きっと、相手を好きであればあるほど難しい。しかし、それをいざ表現するときは一言におさまってしまうと思います。

「好き」という気持が忠実に素敵に切実に表現されている文章をみつけました。



「人が好きになるということは愉しいことのなかでも、一等愉しいことでございます。人が人を好きになることほど、うれしいという言葉が突きとめられることがございません、好きという扉を何枚ひらいて行っても、それは好きでつくり上げられている、お家のようなものなんです」


室生屑星の理想の“女ひと”の結晶を変幻自在の金魚と、老作家の会話からなる幻想的な一冊。

金魚扮する幻の女性がしゃべる言葉がにくたらしいほど艶やかで可愛らしく、それに翻弄されながらもそこにささやかな幸せを見出す作家の対話に室生作品ファンでなくともきっと虜になるはず


室生屑星の「蜜のあはれ」を読みおえたころから、玄関の金魚に目を奪われるように。

というのも、「蜜のあはれ」(「火の魚」も)金魚と深く関わっている小説だったからです。



室生屑星は、金魚の尾ひれの美しさなどを賞賛し、その賛辞は金魚のもつ官能美にまで及んでいます。「蜜のあはれ」の初版本の箱には金魚の魚拓が刷られ、その魚拓をとるまでの過程をストーリー化したものが「火の魚」というのだから、金魚への思い入れの深いこと。

魚拓をとるさい室生屑星が魚拓を依頼した女性につけた注文は

「先ずその姿勢が逞しく頭を下に向け、尾は天を蹴って鋭く裂けていなければならず、一体の炎は燃え切って蒼い海面のがらすを切り砕いてゆく降下上体を、鱗目もあざやかに紙の上に刷らなければ

って・・なんて難しい注文をつけるのと思ったのですが、この写真の金魚の姿勢が、まさにそれに当てはまっていいることに感動し、思わず激写。





杏っ子 室生屑星



著者: 室生 犀星
タイトル: 杏っ子



室生屑星の晩年三部作のうちの一つ。自叙伝的長編小説。
娘の不幸な結婚生活を見守る主人公、平四郎。

「別れなくては・・」心の片隅ではそう思うのに、なかなか離婚にふみだせない
娘に向かって、平四郎が言った台詞。


「多くの女が苦しんでいるのも、みなそれなんだ。
同様に男もその鎖でもがいているがね。そこにあるものはやはり性欲の反芻が、
折り返して彼らを元にもどしたり突き抜けようとしてもだえている。

先ず性欲が対手方に向かって無関心になる状態が肝心だ、それの破壊作用が行われたら、男なんて不要の物質になる。」


最終的に別れを選んだ娘、杏子。
杏子が、最期に別れた夫と再会するシーンでは、

「・・・いま向こう向きに歩いている男が、嘗て肉体を分け合った男であるとは思えなかった。そう思うには、亮吉に対するものの大部分、いやおそらくみんな失っていた。その顔も胸も、その大部分の肉体には少しも杏子の眼にとまるものはなかった。」と、その心情を表現しています。

”少しも眼にとまるものはなかった”この一文を素晴らしいと思いました。


自分の恋愛心理を、性欲だけで図る事はできません。
でも、本能に近い性欲が、恋愛に大きく作用することも確か。

であれば、上記の平四郎の台詞と、杏子の心情描写を恋愛の物差しのうちの一つとして取り入れてみるのもいいかもしれない。
そう思いました。


私の本棚

私の本棚にある本を紹介します。

一回目は何にしようかな?

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